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竹田 武司
JAEA-Data/Code 2023-007, 72 Pages, 2023/07
ROSA-V計画において、大型非定常実験装置(LSTF)を用いた実験(実験番号:IB-HL-01)が2009年11月19日に行われた。ROSA/LSTF IB-HL-01実験では、加圧水型原子炉(PWR)の加圧器サージラインの両端ギロチン破断による17%高温側配管中破断冷却材喪失事故を模擬した。このとき、高温側配管内面に接する様に、長いノズルを上向きに取り付けることにより破断口を模擬した。また、非常用炉心冷却系(ECCS)である高圧注入系の全故障と補助給水系の全故障を仮定した。実験では、比較的大きいサイズの破断が早い過渡現象を引き起こした。破断後一次系圧力が急激に低下し、蒸気発生器(SG)二次側圧力よりも低くなった。破断流は、破断直後に水単相から二相流に変化した。炉心露出は、ループシールクリアリング(LSC)前に、クロスオーバーレグの下降流側の水位低下と同時に開始した。低温側配管に注入されたECCSの蓄圧注入系(ACC)冷却水の蒸気凝縮により両ループのLSCが誘発された。LSC後の炉心水位の急速な回復により、全炉心はクエンチした。模擬燃料棒被覆管最高温度は、LSCとほぼ同時に検出された。ACC冷却水注入時、高速蒸気流による高温側配管からSG入口プレナムへの液体のエントレインメントにより、高温側配管とSG入口プレナムの水位が回復した。ECCSである低圧注入系の作動を通じた継続的な炉心冷却を確認後、実験を終了した。本報告書は、ROSA/LSTF IB-HL-01実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。
竹田 武司
JAEA-Data/Code 2015-022, 58 Pages, 2016/01
LSTFを用いた実験(実験番号: SB-HL-12)が1998年2月24日に行われた。SB-HL-12実験では、PWRの1%高温側配管小破断冷却材喪失事故を模擬した。このとき、高圧注入系の全故障とともに、蓄圧注入系(ACC)タンクからの非凝縮性ガス(窒素ガス)の流入を仮定した。また、アクシデントマネジメント(AM)策として両ループの蒸気発生器(SG)逃し弁全開による減圧を燃料棒表面最高温度が600Kに到達直後に開始した。一回目のボイルオフによる炉心露出に起因したAM策開始後、一次系圧力は低下したため、炉心二相混合水位は上昇し、燃料棒表面温度は635Kまでの上昇にとどまった。低温側配管内でのACC水と蒸気の凝縮に誘発されたループシールクリアリング(LSC)前に、二回目のボイルオフによる炉心露出が生じた。LSC後速やかに炉心水位は回復し、燃料棒表面温度は696Kまでの上昇にとどまった。窒素ガスの流入開始後、一次系とSG二次側の圧力差が大きくなった。SG伝熱管でのリフラックス凝縮時に、三回目のボイルオフによる炉心露出が生じ、燃料棒表面最高温度が908Kを超えた。本報告書は、SB-HL-12実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。
竹田 武司
JAEA-Data/Code 2014-021, 59 Pages, 2014/11
LSTFを用いた実験(実験番号: SB-CL-32)が1996年5月28日に行われた。SB-CL-32実験では、PWRの1%低温側配管小破断冷却材喪失事故を模擬した。このとき、非常用炉心冷却系である高圧注入系の全故障とともに、蓄圧注入系(ACC)タンクから非凝縮性ガスが流入しないと仮定した。また、アクシデントマネジメント(AM)策として両ループの蒸気発生器(SG)二次側減圧を破断後10分に一次系減圧率200K/hを目標として開始した。AM策開始後、SG二次側圧力の低下にしたがって一次系圧力は低下した。クロスオーバーレグの下降流側水位の低下とともに、ボイルオフによる炉心露出が開始した。一回目のループシールクリアリング(LSC)後速やかに炉心水位は回復し、模擬燃料棒表面温度は669Kまで上昇した。一次系減圧にしたがい低温側配管内でのACC水上の蒸気凝縮に誘発された二回目のLSC前に、ボイルオフによる炉心露出が生じた。二回目のLSC後速やかに炉心水位は回復し、観測された燃料棒表面最高温度は772Kであった。ACC隔離後、低圧注入系の注水による継続的な炉心冷却を確認して実験を終了した。本報告書は、SB-CL-32実験の手順、条件および実験で観察された主な結果をまとめたものである。
鈴木 光弘
JAERI-Tech 2002-071, 171 Pages, 2002/10
本報は大型非定常試験装置(LSTF)を用いて実施した全交流電源喪失実験の加圧器熱流体挙動を解析したものである。LSTFでは米国のAP600型原子炉をモデルとした上記実験を実施したが、その長時間の原子炉冷却・減圧過程で、一旦喪失した加圧器水位が再上昇し、蒸気配管まで満水にする特徴的事象が見られた。実験結果の分析により、これは自然循環が停留した蒸気発生器伝熱管内で冷却材が減圧沸騰を開始した条件下で、加圧器蒸気配管で蒸気凝縮が継続したことに起因するものと判断された。本報はRELAP5/MOD3コードによる解析と実験結果の分析により、蒸気配管部の凝縮減圧効果と加圧器壁の熱源効果という、2種類の構造材-冷却材熱的相互作用を定量的に解明した。また加圧器系の熱損失特性を評価した。加えて実機加圧器系との熱的特性の相違についても明らかにした。
中村 秀夫; 久木田 豊; R.A.Shaw*; R.R.Schultz*
Proc. of ASMEJSME 4th Int. Conf. on Nuclear Engineering 1996 (ICONE-4), 1(PART A), p.237 - 244, 1996/00
ROSA-AP600実験で観察された蓄圧注入系与圧用窒素(N)ガスのPRHRとCMTへの蓄積条件と、各々の機器の除熱能力に及ぼす影響を、実施した14実験からまとめると共に、CMT内の濃度変化を推定した。AP600では事象の終盤に、蓄圧注入系からNガスが一次系に流入する。その際、PRHRにはADS作動後ホットレグに水位が形成された場合にのみ、CMTには、コールドレグに水位が形成され、かつ均圧ラインが順流の時に各々流入、蓄積することがわかった。ただし、このようなNガスの蓄積は通常ADS作動後に生じるため、系への影響は小さいことがわかった。CMTへの蓄積は逆に、円滑な冷却材の注入を促すことがわかった。更に気相密度の安定成層を仮定し、温度分布から求めたCMT内Nガス最大蓄積量は、蓄圧注入系から放出される相当部分に達する可能性があることを示した。
中村 秀夫; 久木田 豊
Int. Conf. on New Trends in Nulear System Thermohydraulics,Vol. 1, 0, p.77 - 86, 1994/00
加圧水型原子炉(PWR)停止時に炉心を冷却する余熱除去(RHR)系が、1次系水位を水平配管付近に低下して行われるミッドループ運転中、何らかの原因で停止する事象について、ROSA-V/LSTF装置を用いて模擬実験を行った。本事象発生時には、空気等の非凝縮性気体が気相部を満たしている為、高圧の炉運転時に発生する冷却材喪失事故(LOCA)とは異なる複雑な熱水力現象が予想される。また、炉停止時にはECCSや主要な計測器が使用できない場合がある。実験は、1次系圧力境界に作業用開口部を仮定した場合を含めて7回行い、炉心内冷却材の沸騰開始までの時間余裕、その後の圧力上昇、蒸気移動、主冷却材分布及び炉心露出といった主要な熱水力現象に対する、非凝縮性気体、作業用開口部の有無や位置及び蒸気発生器2次側冷却材等の影響を明らかにした。本報告は、これらの結果をまとめたものである。
与能本 泰介; 安濃田 良成; 久木田 豊; Y.Peng*
Proc. of the Int. Topical Meeting on Safety of Thermal Reactors, p.522 - 529, 1991/00
ROSA-IV大型非定常装置(LSTF)を用いてリフラックス凝縮実験を行なった。LSTFは、加圧水型原子炉の体積比1/48の模擬装置である。実験結果は、蒸気発生器細管入口における無次元蒸気流速√Jが0.64を越える場合に、対向流制限(CCFL)によって細管内に顕著な蓄水が生じる事を示した。実験結果ならびに重力、界面せん断応力、壁面せん断応力間のつりあいの解析により蒸気発生器細管におけるCCFL特性を明かにした。本実験結果を用いたRELAP5/MOD2及びMOD3コードの評価結果は、1)MOD2コードでは蓄水挙動が計算されない事、及び2)MOD3コードは蓄水挙動を定性的に再現する事を示した。
熊丸 博滋; 小泉 安郎; 刑部 真弘; 川路 正裕; 田坂 完二
86-WA/NE-8, p.1 - 6, 1986/00
大型非定常試験装置(LSTF)はPWRを、高さを同一にし、体積を1/48に縮尺した、小破断LOCA及び異常過渡事象実験用の総合実験装置である。このLSTF装置において、炉心出力が5% および、2% の状態で、1次系内冷却材が減少し、蒸気発生器ではリフラックス凝縮熱伝達となっている状況下で、蒸気発生器2次側水位を低下させ、その炉心冷却へ与える影響を調べた。その結果、炉心出力が5%及び2%の場合、2次側水位がそれぞれ10%、及び6%に低下するまで蒸気発生器は1次系冷却に有効に働いた。また、2次側水位下の1次系から2次系への熱通過率は2.51.0kw/mKであった。この結果は、PWRの蒸気発生器による冷却限界を検討する際に、有用な手掛りとなるものと考えられる。
久木田 豊; 加藤 正美*; 守屋 公三明*; 黒木 道雄*; 生田目 健*; 斯波 正誼
JAERI-M 83-186, 171 Pages, 1983/10
本報告は、格納容器圧力抑制系信頼性実証試験において得られた試験結果のうち、昭和53~55年度に実施した水放出試験12ランにおける蒸気凝縮荷重の定量的評価を行ったものである。蒸気凝縮振動およびチャギング現象によってもたらされる圧力抑制プールバウンダリ荷重の大きさを、RMS値、パワスペクトル密度、応答スペクトルによって評価し、これらの量の上限値を与えるデータを選択することによって、実炉の荷重を保守的に評価するためのデータベースを作成した。また、熱水力条件と荷重の大きさとの関係、ならびにチャギングによる荷重に対するベント管相互の非同期の影響について調べた。
久木田 豊; 生田目 健; 竹下 功; 斯波 正誼
Nuclear Technology, 63, p.337 - 346, 1983/00
被引用回数:12 パーセンタイル:77.07(Nuclear Science & Technology)格納容器圧力抑制系信頼性実証試験の試験結果にもとづき、圧力抑制プール内の蒸気凝縮に起因する格納容器動荷重に対する蒸気中の非凝縮性気体(空気)の影響を調べた。空気の存在により、従来知られていたように凝縮が安定化しチャギング現象の発生が抑制される効果が生じるだけでなく、ベント管内蒸気流速が比較的高い条件下ではこれも正反対の効果が生じうること、ならびにこれらの効果が、蒸気凝縮荷重の大きさに重大な影響を及ぼすことを明らかにした。
早田 邦久
Journal of Nuclear Science and Technology, 19(10), p.813 - 820, 1982/00
被引用回数:4 パーセンタイル:47.56(Nuclear Science & Technology)加圧水型原子炉(PWR)の自然循環は、TMI事故後、強制循環を喪失するような事故または遷移時の代替冷却法として、また、回復手段として、近年大きな関心を集めてきた。自然循環の3つのモード(単相、二相、リフラックス)のうち、リフラックス冷却については、PWRでの十分な検討がされていない。本報告では、自然循環のリフラックス冷却に注目し、PWRのホットレグ内の液速を推定する解析方法を導いた。本報告の結果から、代表的なPWRのリフラックッス時(2%炉心出力、6.9MPa)には、上部プレナム側のホットレグ入口で、流速は2.7m/s、液深さは、3.0cmであることがわかった。この結果から、蒸気流路の凝縮液流による閉塞は、ホットレグ内で殆んどおこらないことがわかった。この結果は、リフラックス冷却実験を行なう実験装置で、液連および液深さを測定する計測器を設計するのにも有用である。
田辺 文也; 吉田 一雄; 松本 潔; 下桶 敬則
Nucl.Eng.Des., 69(1), p.3 - 36, 1982/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.87(Nuclear Science & Technology)TMI事故の熱水力学的解析を事故発生より三時間にわたる期間についてRELAP4/MOD6/U4/J2を用いて行なった。操作員の動作、蒸気発生器2次側条件の時間的変化など一部の解析条件はプラント・レコードによっている。解析では、加圧器ヒータの効果、金属-水反応による水素の発生と存在などを模擬している。解析結果はプラント・レコード又はそれらから推定されたものとよく一致している。加圧器ヒータは加圧器内冷却水のエンタルピを高めるため逃し弁からの流出流量を小さくしその結果、炉心水位はヒータを無視した場合よりも高くなることや8000秒以降の圧力上昇は水素の存在による分圧と水蒸気凝縮熱伝達係数の減少が主たる原因であることが本解析により明らかになった。また燃料棒の蒸気中への露出は事故後6490秒より始まり炉心下部より3.4ft~4.5ft以上の部分の露出が約40分続いたと推定される。
岡崎 元昭
Journal of Nuclear Science and Technology, 16(12), p.897 - 906, 1979/00
被引用回数:1前報で提出した、ベント管出口で球付状水界面を形成する解析モデルの有用性を調べるため、圧力振動現象に関与する因子の影響度について調べた。取り上げた影響因子は本モデル内で使用している全ての係数,装置の大きさに関係するものとしてベント管長さ,ベント管浸水深さ,ヘッダー容積,ベント管径、そして熱水力条件に関係するものとしてプール表面圧力ならびにプール水温である。これらの因子の内、プール水温を除いて本解析モデルは蒸気凝縮時に発生する圧力振動現象をよく説明するものであることが示された。特にベント管径の影響については別途行なわれた実験と比較し、振動数が計算値とよく一致することが示された。振幅については計測器の不都合のため比較できなかった。